2024/03/26

【強さと正しさ、どちらが先か?】『JUSTIFIED 俺の正義~連邦保安官レイラン・ギヴンズの犯罪捜査』第一話レビュー(※ネタバレ注意)

己の正義を貫く保安官が、田舎町に潜むさまざまな犯罪と戦う『JUSTIFIED 俺の正義~連邦保安官レイラン・ギヴンズの犯罪捜査』。アメリカ・ニューオーリンズ出身の犯罪小説家エルモア・レナードによる短編小説”Fire in the Hole”を原作としたドラマで、2010年から2015年にかけて全6シーズンが放送。プライムタイム・エミー賞に計8回ノミネートされ、アカデミー賞の前哨戦の一つとされるサテライト賞にもノミネートされています。2023年には約10年ぶりとなる続編『JUSTIFIED俺の正義:クライムシティ デトロイト』が制作され話題になりました。今回は、第一話を視聴したアクションドラマ大好き人間によるレビューをお届けします!※第一話の内容に触れていますのでネタバレにご注意ください。

第一話「過去との再会」あらすじ

事件の容疑者として追っていた麻薬カルテルの殺し屋を白昼堂々射殺し、生まれ故郷のケンタッキー州の小さな事務所に左遷された保安官レイラン・ギヴンズ。古巣に帰った彼の最初の仕事は、白人至上主義を掲げ、町で過激な破壊活動を繰り返す危険人物ボイド・クラウダーを検挙することでした。10代のころ苦楽を共にしたかつての旧友と、今度は警官と犯罪者という立場で対峙することとなるレイラン。深夜に教会が爆破され、路上では警官と過激派が銃撃戦を繰り広げ、おまけに仕事柄行かざるをえない裁判所では元妻が働いている、という災難続きの幕開けでありながら、彼は冷静さを失わずに淡々と職務に専念します。やがて、彼はこれまでずっと故郷に置き去りにしてきた自分自身の過去と向き合うことになるのでした。

【現代版西部劇】交渉して、圧力をかけて、それでだめなら決闘に持ち込む系主人公レイラン

第一話の冒頭、追跡中の容疑者を射殺したレイランは、マイアミからケンタッキーの小さな保安官事務所への転勤を命じられます。先に銃を抜いたのは相手の方だった、という正当防衛を主張しましたが、「そういう問題ではない」と切り捨てられてしまいます。レイランの主張に信憑性がないから?いえ違います。確かに彼の早撃ちの腕前は比類ないもので、先に相手が引き金に指をかけていようが競り勝てるでしょうし、上司ももちろんそれをわかっていますが、彼の言う通りそれは問題ではありません。観光客も多い都心部のど真ん中で、すぐそばに民間人がいるという状況にも関わらず発砲したことを重く見た結果でした。銃を隠し持つ悪党がうろついていたとしても、ここは21世紀のマイアミ。保安官がお尋ね者を始末してそれで終わりにできた西部開拓時代ではないのです。

クビになるよりはマシ、と渋々故郷に帰ることにしたレイラン。長らく足を向けてこなかった故郷に戻れば、元妻は別の男と暮らし、少年時代からよくつるんでいた年下の可愛らしい女の子はDV夫を射殺した罪で保釈中。炭鉱での厳しい仕事を共に潜り抜けてきたかつての旧友は過激な思想の集団の一味となっていました。何もかもが変わってしまった故郷で、レイランはそれでもブレることなく職務を全うしていきます。事件の捜査から囚人の護送まで、田舎町では保安官はどんな仕事も受け持ちます。少ない人員でリスクの高い仕事をするため、保安官たちも猛者ぞろい。移動中の襲撃すら見越してパトカーの後部座席にはいつでもライフルが常備されているような町です。どんな相手と対峙しても、美人から言い寄られても、ショットガンを眉間に向けられても、落ち着きを失わない穏やかな保安官レイランは、つねに危険と隣り合わせのこの町では、驚くほど頼りになる主人公なのです。

そんな保安官レイラン・ギヴンズを演じるのは、『パーフェクト・ゲッタウェイ』(2009)や『クレイジーズ』(2010)のティモシー・オリファント。ネットフリックス配信のドラマシリーズ『サンタクラリータ・ダイエット』(2017-2019)では、ドリュー・バリモアと共演。突如としてきれいなゾンビになってしまった妻の、変化した食生活になんとか適応する理解ある夫を演じていました(残念ながらシーズン3で終了)。2022年公開の映画『アムステルダム』にも出演していますね。

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「相手が先に銃を抜いたから正当防衛」というレイランの言葉に誤りはありません。実際、それが正当防衛だったかどうかを判断するのは裁判所ですが、おそらくほとんどの場合は、銃を自分に向けた相手を撃った時、丸腰の人間を撃った時よりは罪が軽減されることが多いのではないでしょうか。

このドラマのカギは、「相手が銃を抜くまで待つ」というスタイルを貫くレイランをどう思うか、というところです。レイランだけではありません。このドラマの登場人物は、自らの行動の理由を説明できるキャラクターが多いです。正義の味方も、犯罪者も、みなそれぞれ自分の中のガイドラインを持っています。「この線を越えたら、こうしよう」という指標があるのはいいことかもしれません。しかし、自分が、周りが、線を越えようとするタイミングがわかるようになったなら、それは果たして本当に「線を越えないため」のガイドラインなのでしょうか?このドラマを見た後で、タイトルの『JUSTIFIED』に込められた意味について改めて考えてみると、さらにぐっと引き込まれるはずです。気になる方はぜひチェックしてみてください!

(文:うりまる)

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うりまる
2017年ごろから海外ドラマ・映画について執筆中。ハードボイルドからまったりな作品までミステリーならなんでも好きです。