2023/09/05

冴えないおじさんが逃げる、戦う、美女を愛す!危険でセクシーな非日常を、スピード感満点で描いた「大人の冒険譚」『R 運命の文字~その男、逃亡者バロン』

― トントン進んで退屈知らず!メキシコの軽快なドラマ ―

海外ドラマの第1話を観るときはワクワクしますよね!
AXNにて、独占日本初放送となるメキシコ制作のドラマ「R 運命の文字~その男、逃亡者バロン」(全10話)も、「一体どんな作品なのかな」と、興味津々で鑑賞いたしました。
私は、メキシコのドラマを本格的に鑑賞するのは初めてだったのですが、このドラマは馴染みのあるアメリカ製のドラマと変わらないエンターテインメント作品で、大いに楽しむことができました。
本国メキシコでは2020年に放送されたドラマのようです。
主な内容は、主人公の冴えない中年男性が、犯罪組織や警察から追われることになる逃亡劇。
主人公がトラブルに遭い続ける、「巻き込まれ型」の構造なのですが。
トントン進む展開の速さにビックリ。
ちょっとでも目を離すと置いていかれそう。
これは、ジェットコースター・ムービー(死語)ならぬ、ジェットコースター・ドラマですよ!

主人公にまつわる家族、職場、恋愛のエピソードがあると思えば、犯罪組織との銃撃戦など、アクション場面もありますよ。
警察と主人公の「追っかけっこ」があると思えば、警察に根付く「深い闇」まで物語に組み込まれていて、警察ネタも豊富です。
演出のスピード感は初回から最終話まで持続して「退屈知らず」でした。
このドラマの中で、個人的に一番気に入っているところは、時々コメディ調になるところですね。
犯罪組織や警察が出てくる場面も、どこか軽い調子で、硬くありません。
とくに、主人公の上司が意地悪なキャラクターで、その芝居は少々大げさに演出されていて、2人の掛け合いは喜劇を観ているかのよう。
私は、ユーモアがある海外ドラマが好きなので、この作風はうれしかったですね。
逃亡者となった主人公に、どんな運命が待ち受けているのかも気になるところ。
「初回を観たら、もう最終話まで観るしかない。辛抱できない!」・・・そんなドラマかと思います。

― おじさんは辛いんだよ!おじさんを応援したくなるポイント多数 ―

主人公の中年男性フランシスコ・バロンの設定は、日常感に溢れています。
簡単に言えば一般市民ですね。
家庭では妻に小言を言われ、ティーンエイジャーの娘は不機嫌、無職の息子は無口なタイプ。
とくに妻の小言が「出世しろ。いいから金持って帰ってこい。とにかく金がないんだよ」というものが目立っていて、バロンが気の毒になりました。
そんなこと、言われてもねぇ。

職場では、同僚たちの前で、年下の上司から嫌味を言われています。
せめて個室で、1対1の状態で嫌味を言ってくれればねぇ。

バロンは、「面白くない毎日を過ごす、普通のお父さん」を絵に描いたようなキャラクターになっていますね。
フランシスコ・バロン役を演じたマウリシオ・オフマンは、体型が痩せ型だから、ショボくれた役にピッタリ。
よく見ると顔は端正で、好感度がありますね。
「実はイケメン」の類です!
マウリシオ・オフマンは、ラテンドラマ「マリナ ~恋に落ちた女神」出演で人気が出た俳優さんとのこと。
どこか清潔感があるので、バロン役としても、多くの視聴者に愛されそうな予感がします。
 
ドラマの話数を重ねるごとに、バロンに関わってくる妻、娼婦マガリ、(ほぼ)同姓同名の別バロンなど、多くの登場人物が、主人公と同じように日常に縛られて「人生がんじがらめ」の状態と判明。
みんな、人生どん詰まり!
「みんな、もがいているんだな。メキシコも日本も、どこの一般市民も同じだよ」と、共感しながらドラマを鑑賞しました。

― キラリと光る、前向きな人生論 ―

主人公の中年男性バロンが「余命わずか」と診断されて始まる物語。
「だったら生きているうちに、色々やろう」ということで、夜の街に繰り出すものの、ふとした弾みで犯罪に手を染めてしまうことに。
バロンを取り巻く状況は、どんどん悪い方向に進んでいきます。
家族や上司に反発もできず、好きなように生きられなかったバロンの心に変化が。
まるで別人化!
余命宣告と事件を機に、バロンは、家族や上司に対して言いたいことをズバッと言っちゃう人物に。
そんなバロンの姿が痛快です。

後に「余命わずか」という診断は誤診と判明。
本当に「余命わずか」な人物は、主人公と(ほぼ)同姓同名の別バロンで、2人は友情を築くことに。
接点のなかった2人のバロンが運命的に出会い、絆を深めていくエピソードも熱いです。

2人のバロンの行動からは、「死んだ気になれば、何でもできる」「先のことは誰にもわからないのだから、やりたいことはやっておくべき」というような、前向きな人生論を感じました。

― 逃げる、戦う、愛する、守る!全編に溢れる「おじさんロマン」―

主人公の中年男性バロンは、たまたま出会った娼婦マガリ、(ほぼ)同姓同名の別バロンと、行動を共にしながら逃亡することに。
「デコボコ三人組」の完成~!

 

娼婦マガリが、セクシーでステキです。
バロンが一目で魅了されるのも納得。
演じているパウリナ・ダビラは、時に激しく、時に切なく、時に妖艶に、複雑な役を器用に表現していました。
 
バロンを取り巻く、その他の女性キャラクターも、全員ステキです。
バロンを追うナタリア・ロメロ警視や、弁護士のクララを演じる女優さんも、いつもメイクが決まっていてステキでした。
メキシコには、一体どれだけステキな女優さんがいるのでしょうか?!

バロンが、警察から逃げ回ったり、犯罪組織の大物と戦ったり、たまたま出会った娼婦マガリを愛したり、命がけで家族を守ったりする場面が目を引きますけども。
どれも、中年男性が憧れる、非現実なシチュエーションばかり。
日常には、あるはずのない夢設定です!

このドラマの全編が、中年男性にとってのロマンなのだと思います。
「こんな冒険してみたい」という願いが叶っている物語でした。
 
最終話のラストも、中年男性の美学に溢れています。
ぜひ、みなさんの目でお確かめいただきたいです。

 

(ライター:野村 司)

 

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