数多くの最強チームが活躍するアクション海外ドラマをお届けしているアクションチャンネルでは、「最強チームのつくりかた」について、ビジネスやスポーツの現場で組織運営や人材育成に取り組む方々にインタビューする企画をお届けしています。
今回は、全米ツアーを成功させた東洋人ブルースシンガーであり、50年以上にわたり動物愛護と社会福祉に貢献し続ける一般財団法人 国際セラピードッグ協会 創始者の大木トオルさんのインタビューをお届けします。殺処分寸前の捨て犬たちを救い出し、日本初のセラピードッグへと育て上げた「名犬チロリ」との出会いや、壮絶な現場を乗り越えてきた経験から生まれたチームづくりの極意とは――。

<プロフィール>
大木トオル(おおき とおる)
音楽家、一般財団法人 国際セラピードッグ協会 創始者、一般社団法人 大木動物愛護協会 創始者、弘前学院大学客員教授、社会福祉学者(日米)。
東京・日本橋人形町生まれ。1976年渡米。全米音楽界で唯一、東洋人ブルースシンガーとして全米ツアーを成功させるなど人種の壁を乗り越えて世界的に活躍し、「ミスターイエローブルース」と称賛される。そして60年にわたる音楽活動と共に50年以上にわたり動物愛護家として日米の友好・親善に尽くすと共に独自のセラビードッグ訓練カリキュラムを考案し、殺処分寸前の捨て犬たちを救助しセラピードッグへ育成。そして高齢者施設、障がい者施設、病院、教育の現場などで活動し社会福祉に尽力する。また捨て犬、捨て猫の殺処分廃止の実現のため、動物愛護法の改正に多大な貢献をする。
長年の動物愛護活動、社会福祉貢献に対して数多くの賞を授与される。
-Q1. 国際セラピードッグ協会では、どのような原点からチーム作りがスタートするのでしょうか?
大木トオルさん(以下、敬称略):
私たちの活動は、明日処分されてしまう運命にあった捨て犬たちを救い出すことから始まります。彼らは人間に対する強い不信感やトラウマを抱え、健康な状態の子は一頭もいません。言わば全員が「マイナスからのスタート」なのです。
まずはスタッフ(ハンドラー)たちが彼らと一緒に寝起きを共にし、怪我や病気の治療、トラウマの克服に寄り添います。そして、施設には同じような境遇を乗り越えてきた先輩犬たちが「仲間(チーム)」として存在しています。
また、どこから来たのかも年齢もわからない彼らを地域に登録する際、全員に誕生日を設定します。こうして一頭一頭に「生きていく権利」と「名前」を与え、人間と犬が一丸となって「信頼関係」を築くことこそが、私たちのチームづくりの最初のスタートなのです。
-Q2. 大木さんご自身のキャリアやライフワークは、どのように協会の設立やチームの成長に結びついているのでしょうか?
大木:
私はもともとプロのブルースシンガーとしてアメリカで活動していました。アメリカではどんな職種であれ「あなたのライフワーク(社会貢献)は何か」を厳しく問われます。渡米当初の私は生活に精一杯でライフワークを持っておらず、「これではいけない」と感じていました。
私自身の原点を振り返ると、少年時代に吃音障害を抱え、周りから心ない言葉を浴びせられていた頃、優しく言葉を待ってくれる愛犬がいつもそばにいてくれました。12歳で家族と離れ、その後病気を患い入院した時も、やはり癒してくれたのは犬たちでした。
そしてアメリカで高齢者施設を訪問しセラピードッグの姿を見た時、「かつて自分が犬に救われたことこそがセラピーだった」と気づき、「犬を救い、犬と共に社会に貢献すること」を一生のライフワークにしようと決意しました。
その後、ゴミの中に捨てられていた雑種犬「チロリ」と出会い、日本初のセラピードッグへと育て上げました。チロリの活躍はメディアでも大きく報じられ、「捨て犬だった子が人を助けられる」という証明にもなってくれました。この一歩があったからこそ、現在の仲間たち(チーム)があると思っています。
-Q3. 実際のセラピー活動の現場において、ハンドラー(スタッフ)に求めている役割や、最も気をつけていることは何でしょうか?
大木:
最もやってはいけないことは、「一度トラウマを克服した犬たちに、現場で再び嫌な思いをさせること」です。
犬は喋れませんから、彼らが二度と人間不信にならないよう保護し、安全にセラピー活動が出来るよう誘導するのが私たちチームの重要な役割です。
そのため私は、患者さんのカルテや病状、行動パターンを把握した上で、「この患者さんにはどの犬を合わせるか」を適宜調整するようにしています。
犬たちの個性を見抜き、絶対に嫌な目に遭わせない。そうやって守られているからこそ、犬たちは安心し、そして堂々と人々を救う役割を果たせるのです。

-Q4. 保護した犬たちがセラピードッグとして活動できるようになるまでの過程で、最も苦労されるのはどのような点でしょうか?
大木:
一番苦労するのは「犬たちの健康状態とトラウマの克服」です。救出してきた犬たちは、一頭で多くの疾患を抱えていることもザラで、100%健康な状態の子はいません。現実的な話をすれば医療費との戦いであったり、人員確保であったり、あらゆる問題を乗り越えなければ犬たちを健康にしてあげられない。トラウマの深さも一頭一頭異なり、半年でトレーニングに入れる子もいれば、2年間全く動けない子もいます。
こうした犬たちの健康回復、トラウマ、人間不信を乗り越えていくことのサポートこそが、私たちが最も苦労し、同時に大切にしているプロセスです。
-Q5. 理想のチームを作るために、どのような役割やタイプの人が必要だとお考えですか?
大木:
単に「犬が好き」「可愛いから触れ合いたい」という気持ちだけでは、プロのハンドラーは務まりません。ハンドラーになるための修行を経て、技術力だけでなく高い人間性と耐久力を兼ね備えたスタッフが求められます。
現場では常に犬と患者さんに寄り添わなければなりません。単なる技術だけではなく、ハンドラー自身の負担を軽減させながら、患者さんと犬の変化を即座に察知して対応する判断力も必要です。
そして何より重要なのは、「ハンドラーも犬も、ロボットのように全員が同じになってはいけない」ということです。それぞれの個性が大切なんです。引っ込み思案な子、勇敢な子、嫉妬深い子など、全員が強い「個性」を持っているからこそ、現場のあらゆる状況に対応できる最強のチームが生まれるのです。
-Q6. 理想とするリーダー像、また影響を受けた人物や言葉などがあればお聞かせください。
大木:
人間関係においては、特定の著名人に影響を受けないようにしていますが、私にとって最大のリーダーであり、生き方の手本となったのは、名犬「チロリ」です。今では銅像が建ち、教科書に掲載されたり、切手になったり、書籍化や映像化もされ多くの方々に知っていただけているチロリですが、出会った頃はゴミに捨てられボロボロの状態でした。当初、私がチロリを救ったつもりでいましたが、実際は私がチロリから多くを教わりました。英語に「Do the right thing(正しいことをやりなさい)」という言葉がありますが、チロリはまさにそれを体現していました。私はこの歳になっても「ここ一番」という時には、「チロリだったらどんな行動するだろうか」ということを思います。「老いては子に従え」じゃないですが、彼女はすごくしっかりしいてる子で、信念のようなものがあった。チロリが持っていた心の広さ、人を信じる強さ、そして仲間をいじめる奴は絶対に許さないという正義感と勇敢さ。彼女はまさに私の「娘」であり、「人生の師」でもありました。

-Q7. ご自身が考える「最強のチーム」に最も必要な要素を一つ教えてください。
大木:
最強のチームに必要なのは、「全員の異なる個性を認め合い、一つの目的に向けて力を結集させること」、そして「命の尊厳と愛を裏切らないこと」です。
私のこれまでの活動は、点数で言えば「75点」だと思っています。これまで多くの命を救ってきましたが、一方で救出しきれず、次の日の朝にガス室で処分されてしまった犬たちもたくさんいました。その罪の意識や「もっと力があれば」という悔しさは今も消えません。
だからこそ、残りの25点を後進のスタッフや弟子たち、そして全国の愛犬家たちに継承し、ともに100点を目指してほしいのです。
犬たちはどんなに追いつめられても飼い主を信じて待ち続けます。自分を捨てた人間でさえ、再び会えば尻尾を振って許してしまうほどの深い愛情を持っています。そんな計り知れない愛情と信じる力を持っているんですよ。許す心がある。そして命の尊厳や、「命あるものは幸せになる権利がある」という大切なこといつも犬たちから学んでいます。
どれだけ大変でも「これで生きていく」と決めたので、これらもチーム一丸となって役目を果てしていきたいですね。

ドクター・ドッグ 心を救う最強の相棒(第11~12話)
字幕版:11/1(日)夜7:30から第11~12話一挙放送
心理学者パウルとセラピー犬ケーテが、困難な状況にある患者たちを救っていく、アニマルセラピーがテーマの傑作ドラマ。
リクエストの多かった待望の新エピソードが日本初上陸!
心に傷を抱えた人々に寄り添い、再生への一歩を導く大ヒットドラマで、現在も新エピソードを制作中の人気作品。
★新エピソード直前!第1~10話をおさらい放送!

ドクター・ドッグ 心を救う最強の相棒(全10話)
字幕版:10/31(土)午後2:00から2日連続一挙放送
(10/31:第1~7話、11/1:第8~10話)
〜人に捨てられた犬が人を助ける〜
一般財団法人 国際セラピードッグ協会(創始者 大木トオル代表)は、日本における動物介在療法(Animal Assisted Therapy:AAT)のパイオニアとして、約50年以上に渡り殺処分寸前で救出した捨て犬、被災犬たちをセラピードッグへ育成し、「殺処分0」と「人と動物が幸せに共生する社会の実現」を目指し活動しています。セラピードッグは、人の心に寄り添い病や心身の機能回復を助け、全国の高齢者施設、障がい者施設、病院、教育の現場などで成果をあげています。
日本初第一号認定セラピードッグ「名犬チロリ」
「名犬チロリ」は、当時生んだばかりの子犬5頭と共にゴミ捨て場に捨てられ、後肢に障害を持つ雑種のメス犬で、殺処分寸前のところを大木トオル代表に救助されました。その後2年半かかるセラピードッグ訓練カリキュラムをわずか半年でクリアし、日本初第一号認定セラピードッグになりました。そして多くの高齢者や障がい者の皆さんに笑顔と生きる勇気を届け、セラピードッグの礎を築きました。さらに動物愛護管理法の改正や殺処分廃止に多大な貢献をしました。2006 年3月、乳がんのため永眠(推定16歳)。2007年にはチロリの功績を称え、東京・築地川銀座公園に「名犬チロリ記念碑」が建てられ、動物愛護のシンボルとして世界中の皆さんから愛され続けています。

数多くの最強チームが活躍するアクション海外ドラマをお届けしているアクションチャンネルでは、「最強チームのつくりかた」について、ビジネスやスポーツの現場で組織運営や人材育成に取り組む方々にインタビューする企画をお届けしています。
本企画では、スポーツ、ビジネス、エンタメなど、様々な分野で卓越したチームワークを築いてきた方々にお話を伺いながら、「最強のチーム」を生み出すヒントを探っていきます。
今後、随時更新してまいりますので、お楽しみに!
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