2022/04/01

『私立探偵マグナム』で新たなマグナム像を体現するラテン系俳優ジェイ・ヘルナンデス

zash@Sunset Boulevard

『私立探偵マグナム』で主演を務めるのは、ラテン系俳優のジェイ・ヘルナンデス。オリジナル版で同役を演じたトム・セレックの後継者として、新たなマグナム像を体現する彼のキャリアに迫る!

 

真っ赤なフェラーリに乗り込み、常夏の島・ハワイを颯爽と駆ける、トーマス・マグナム。
海外ドラマ『私立探偵マグナム』の主人公である。
1980年から1988年まで8シーズンにわたり放送されたオリジナルの『私立探偵マグナム』では名優トム・セレックが同役に扮し、口ひげを蓄えた大人の渋い魅力を存分に発揮していたが、約30年の時を経て、TV画面に帰ってきたトーマス・マグナムは少し雰囲気の異なるキャラクターだった。
2018年に復活を遂げた『私立探偵マグナム』の主人公は、どこかイタズラっぽさを漂わせた少年のような魅力も醸し出している。
そんな新たなマグナム像を体現するジェイ・ヘルナンデスとは、一体どんな俳優なのだろうか?

イーライ・ロスに見いだされた、ラテン系俳優

ジェイ・ヘルナンデスは、1978年2月20日アメリカ・カリフォルニア州モンテベロで、秘書兼会計士の母とメカニックの父の間に生まれた。
高校時代にエージェントからスカウトを受け、ショービジネスの世界に足を踏み入れ、演技を学ぶようになる。
1999年のTVシリーズ『USA High(原題)』の端役で俳優デビューを飾ったジェイは、いくつかのTVドラマへゲスト出演を果たし、ポール・ウォーカー主演のアクション映画『ロードキラー』(2001)、デニス・クエイドが主演を務めたディズニー映画『オールド・ルーキー』(2002)、レース映画の新機軸を確立したアクション・コメディ『トルク』(2004)といった作品で印象的な演技を魅せ、2005年にホラー映画『ホステル』で主演を務めたことから大きな注目を集めた。
ハリウッド屈指の‘‘変態監督’’として名高いイーライ・ロスがメガホンをとった同作は、バックパック一つでヨーロッパを旅する遊び盛りの3人の大学生が、ある夜、怪しげなホステルへと足を踏み入れ、そこで壮絶な体験を強いられる様子を映し出した、スプラッター映画である。
主人公のパクストン役に扮したジェイは、良い塩梅のチャラさを纏いながら、どんどん窮地に追い込まれていく様を体現しており、非常に小気味いい存在感を放つ。
まさに鬼畜の所業とでも言うべき拷問を受けさせられる場面での表情は一見の価値ありだ。

DC映画の主要キャストに抜擢!

『ホステル』で映画初主演を飾ったジェイ・ヘルナンデスは、その後、『カリートの道 暗黒街の抗争』(2005)、『ワールド・トレード・センター』(2006)、『ホステル2』(2007)、『レイクビュー・テラス 危険な隣人』(2008)など、続々と話題作に出演するが、なかなか飛躍の時を迎えられずにいた。
2010年代に入ると映画『テイカーズ』(2010)や海外ドラマ『ラスト・リゾート 孤高の戦艦』といった作品で存在感を発揮するようになり、2016年にはついに世界規模の超大作映画の主要キャストに抜擢される。

DCコミックスを代表する悪役(=ヴィラン)たちを主人公に、使い捨ての‘‘決死部隊’’が世界を救おうと大活劇を繰り広げる姿を描いたDCエクステンデッド・ユニバース作品『スーサイド・スクワッド』で、ジェイは炎を操る凶悪犯エル・ディアブロ役を演じている。
その過去に大きなトラウマや罪悪感を抱え、そのことから臆病な性格になってしまったが、許しを得るという意味合いでチームに加入するキャラクターだ。
普段は物静かであるが、怒らせてしまった際のパワーはチーム屈指で非常に危険な存在である。

劇中では面白い存在感を放っているものの、若干の出番薄だったことは否めない。
それでも、その演技は高く評価され、『バッド・ママ』(2016)、『ナイト・イズ・ヤング!夜はこれから』(2017)、『バッド・ママのクリスマス』(2017)、『ブライト』(2017)など、コンスタントに仕事をこなしていく。

そして、2018年、ジェイにとってキャリア史上最大のハマり役を手にすることになるのだ。

『私立探偵マグナム』で体現する新たなマグナム像

2018年より米CBSで放送が始まった『私立探偵マグナム』で、ジェイ・ヘルナンデスは主人公のトーマス・マグナム役に起用された。
当時40歳にして、ようやく掴んだハマり役で、ジェイは活き活きとした演技を披露しているのである。

018年より米CBSで放送が始まった『私立探偵マグナム』で、ジェイ・ヘルナンデスは主人公のトーマス・マグナム役に起用された。
当時40歳にして、ようやく掴んだハマり役で、ジェイは活き活きとした演技を披露しているのである。

全体的に悪戯っぽい表情を浮かべていることが多く、ほかの登場人物との軽妙なやり取りが印象深い。
口元に蓄えた髭も紳士的というよりも、むしろ野性的だ。
オリジナルのマグナムよりも、向こう見ずなところがあり、借り物である真っ赤なフェラーリを危険にさらすこともしばしば。
フェラーリ 488スパイダーを縦横無尽に乗り回す姿は、より魅力的に映る次第である。
名優トム・セレックから受け継いだ伝説的なキャラクターを今後どのようなアプローチで演じてくれるのかにも大いに期待したい。

オリジナルのファンにも好意的に受け入れられている、リブート版『私立探偵マグナム』。
『HAWAII FIVE-0』が終わってしまった今、ハワイを満喫できる作品として大変重宝させてもらっている。
主演のジェイ・ヘルナンデスも非常に魅力的であるため、今後の展開が楽しみだ。

(文・構成:zash)