近年、映画界を主戦場とするハリウッドスターたちのTV進出が顕著になっている。
かつては、映画で活躍できない俳優たちがTVドラマに活路を見出し、キャリアを築いていくという印象が少なからずあった。そんな歴史が2010年代に入り、大きく変わり始めた。
名作と呼ばれる数々のTVドラマが世に送り出され、クリエイターたちの名前もまたブランド化。そして、様々な動画配信サービスの登場により、一気に時代はTVドラマ全盛期へと突入していった。
まさに現代は、映画だけでなく、TVドラマで高く評価されてこそ、一流のスターの証拠という風潮さえあるのだ。
そのため、前述のように、今まさにハリウッドスターたちが血眼になって、ハイクオリティなTVドラマを探し求めている状況にあるのだが、今回、海外ドラマ専門チャンネルAXNでは「ドラマがきらめく 映画スター特集」を実施。ここでは、映画好きも必見の秀逸なドラマ2作品を紹介しよう。
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最初に紹介する作品は、サム・ライミが監督を務めたマーベル映画「スパイダーマン」シリーズでヒロインのメリー・ジェーン・ワトソン役を演じたことでも有名なキルスティン・ダンストが主演を務めるコメディ・ドラマ『ビカミング・ア・ゴッド』。
物語の舞台となるのは、1992年のアメリカ・フロリダ州オーランド。ここに貧乏生活から抜け出そうとする一人の女性がいた。彼女の名は、クリスタル(キルスティン・ダンスト)。 閑古鳥が鳴くウォーターパークで最低賃金の仕事をこなしているクリスタルは、日々の生活に飽き飽きしていた。
そんなクリスタルを尻目に、彼女の夫であるトラヴィス(アレクサンダー・スカルスガルド)は、ネットワークビジネス(マルチ商法)で一攫千金を狙っており、上層会員になろうと躍起になっている。
ある時、突然の悲劇に見舞われ、クリスタルの人生はさらにどん底へと向かっていくことになる。
しかし、クリスタルはこの状況をなんとか打破しようと、あらゆる策を講じていく…そして、人々を惹きつける才能があることに気づかされたクリスタルは、ネットワークビジネスの世界で再起をかけることを決意するのだった…。
生活に困窮した主人公がどん底から這い上がるために、いかがわしいビジネスに手を出し、見る見るうちに成功を収めていく物語は人々の興味、関心を引くことが多い。
『ブレイキング・バッド』や『クライアント・リスト』などがその代表例で、のちに名作と呼ばれることとなった作品も数多い。その系譜を受け継ぐ作品が本作である。
本作の主人公であるクリスタルが手を出すのは、「FAM」という名のネットワークビジネス。
決して犯罪というわけではないが、どこか怪しげな空気感を纏った商売であることは間違いない。
最近、日本でも某企業がニュースで大きく取り沙汰されていたが、おそらくはその某企業をモデルにしていると思われる。
そんな「FAM」の会員の中で、クリスタルはひと際個性を発揮。多くの会員たちを惹きつけていき、‘‘神’’に等しい存在まで上り詰めていく。
この「成り上がり人生」を見事に体現して魅せるキルスティン・ダンストの演技も見事である。
キルスティンと言えば、かつてはアメコミ映画のヒロインとして人気を博した女優であるが、その後、『メランコリア』(2011)、『The Beguild/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017)、海外ドラマ『FARGO/ファーゴ』等、王道のハリウッド女優というキャリアではなく、体当たりの演技も多い個性派女優として存在感を発揮してきた印象が強い。
本作でもその魅力は大いに発揮されており、よれよれのタンクトップ姿で子供を抱きかかえている姿が強烈な印象を残す。時には相手に罵声を浴びせ、自分がいかにして「FAM」に人生を救われたかを声を大にして熱弁。そのイカれっぷりと鬼気迫る表情の数々は思わずコメディであることすらも忘れさせてしまうほどだ。
また、本作で注目すべきなのは、キルスティンだけではない。製作総指揮には、あのジョージ・クルーニーも名を連ねている。
クルーニーは俳優だけでなく、これまで幾度となくプロデューサーとしての才能も見せつけてきた。
彼が携わった作品は、シリアスドラマとコメディのちょうど中間を行き来する絶妙なバランスが一層の面白さを醸し出すことが多いのだが、本作も例外ではない。コミカルな展開で視聴者を和やかな気持ちにさせた直後に、あまりにも唐突な衝撃を与えることで‘‘笑い’’どころではない状況に追い込む様は流石の一言に尽きる。
個性派女優キルスティン・ダンストとプロデューサーとして異質な空気感を創り出すことに長けたジョージ・クルーニー…2人のタッグが猛烈な化学反応を生み出している一作だ。
▼放送情報
ビカミング・ア・ゴッド(全10話)
字幕版: 3月19日・26日(日)夕方4:00から5話連続 一挙放送
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続いて紹介するのは、1960年代のイギリスで起きた政治家のスキャンダルに焦点を当てた英国ドラマ『英国スキャンダル ~セックスと陰謀のソープ事件』。
1965年のイギリス・ロンドン。未だ同性愛が違法だとされていた時代を舞台にした本作は、次期自由党党首の座を狙うジェレミー・ソープ(ヒュー・グラント)を主人公としている。
一介の下院議員であるソープは、ある秘密を抱えていた。それは、自身が同性愛者であるということであった。
しかし、過去にノーマン(ベン・ウィショー)という青年と関係を持ってしまったことから、この事実が世間に知れ渡る危機に瀕してしまう。
一刻も早く事態を収拾しなければならなくなってしまったソープは、最後の手段を講じようとするが…。
注目すべき点は、これが実際にあった出来事であるということだ。
英国政治史上もっとも物議を醸したとさえ言われるスキャンダルを見事に映像化したのが本作。
1960年代のスキャンダルをなぜ今になって?と思うかもしれないが、今だからこそ意味がある。
今、世界中で多様性が求められており、LGBTQへの関心が高まっている。そのため、これまで寛容的でなかったLGBTQに対する法律などを見直す動きもあり、差別を無くすことが急務となっている。
本作で描かれる1960年代のイギリスは保守的な政治が顕著で、世の中が変革する一歩手前にある状態。そんな変わりゆく世界の中で起きた一つのスキャンダルが、一体どのような結末を遂げることになるのかに注目だ。
本作で主人公ジェレミー・ソープ役に扮するのは、かつて‘‘ロマコメの帝王’’として映画界に大旋風を巻き起こした、ヒュー・グラント。
日本にも熱心な女性ファンが多いことでも知られるヒューが、今回挑戦するのは、同性愛者であることをひた隠しにする政治家。
齢を重ね、より味のある演技をするようになったヒュー・グラントの新境地を見られること請け合いだ。
そんなヒューの相手役を務めるのは、「007」シリーズのQ役や「パディントン」シリーズでもお馴染みの人気英国男子のベン・ウィショー。
本作でゴールデン・グローブ賞テレビ部門助演男優賞を受賞したベンだが、ヒューとの相性バッチリな共演シーンは、英国俳優ファンにとっては眼福この上ないと言えるだろう。
▼放送情報
英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件(全3話)
字幕版: 3月16日(木)夜11:00スタート 毎週木曜 夜11:00≪DRAMAX11≫
二カ国語版: 3月20日(月)夜11:00スタート 毎週月曜 夜11:00≪DRAMAX11≫
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映画界で活躍するハリウッドスターたちが出演する海外ドラマ2作品。
映画よりも長い時間をかけて一つの物語を紡ぎ出す丁寧な構成は、ドラマでしか味わえない。
より奥深さを増した彼らの演技を海外ドラマで堪能しようではないか!
(ライター:zash)
画像クレジット
ビカミング・ア・ゴッド:(C) 2019 Sony Pictures Television Inc. and Showtime Networks Inc. All Rights Reserved.
英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件: (C) 2018 Scandal Productions LTD. All Rights Reserved.
ビカミング・ア・ゴッド
英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件