第1話 「Antipasto(アンティパスト)」

ウィルとジャックが率いるFBIと連続殺人鬼ハンニバルの死闘、その勝者はハンニバルだった。
彼は、自身のセラピーを担当していた精神科医ベデリア・ドゥ・モーリアを連れて逃亡。ヨーロッパへと旅立った。

数カ月後—。そこには、フランス・パリを発ち、イタリア・フィレンツェへ移動するハンニバルの姿があった。
パリ滞在中に、フィレンツェのカッポーニ宮で司書を務めるローマン・フェル博士を殺害。その後、ハンニバルはローマン・フェル博士になりすまし、カッポーニ宮で働き始める。イタリアの歴史・文化に精通し、ダンテやボッティチェリを愛するハンニバルとって、その生活はまさに恍惚とさせるものだ。逃亡前とは異なり、芸術的殺人は影を潜めていた。
そんな彼の傍らには、ベデリアの姿があった。ベデリアは過去に患者を殺してしまった(襲われて反撃)際に、ハンニバルの協力を受けその痕跡を隠滅していた。ハンニバルの本性を知りながら彼に従うベデリア。「いつかハンニバルに殺されるかもしれない」という恐怖を抱える反面、彼女はハンニバルの行為に対して興味を隠しきれずにいた。

ある日、ハンニバルはかつてローマンの助手をしていたディモンドという男に遭遇してしまう。パリで一度顔を合わせていた2人。ハンニバルは、ローマンになりすましていることが気づかれたと思いながら、あえてディモンドをディナーに招待する。そしてその夜、ハンニバル、ベデリア、ディモンドの3人はハンニバルの家で食卓を囲むことに…。